ヤジロベーのような財政運営
2026/08/09
とうとう高市政権が「消費税減税」を閣議決定した。

来年の4月から2年間のみの暫定減税で、現行の食品類8%を1%に減税し、この1%分を給付付き税額控除で還付することで、実質0%と目論んでいる。

2年間限定なので、その後は8%に戻る事となるが、その時の経済状況や世論は大丈夫だろうか?高市首相は自分が責任を持って元に戻すと言っているが、高市政権が存続している確約も無い。

この減税で問題視されているのが、外食産業への影響である。お店で食べるより弁当やテイクアウトやデリバリーを利用した方がお得である。

毎回ランチで飲食店へ行っていた人も、週に1~2回は弁当にするかもしれない。飲食店の客足が落ちるのは不可避と言えるだろう。

また、経営者や経理担当者しかわからないかと思うが、消費税納税の仕組みは「預かり消費税 ― 支払消費税 = 納税額」である。つまり食材の仕入れに掛かる消費税(支払消費税)が1%で、お客様から頂く消費税(預かり消費税)が10%なので、差額9%を納税しなければならない。これの納税は当然の事では有るが、実際の納税は年1回若しくは2回なので、資金力が無い小規模店舗等が、その間に納税分を運転資金等に使ってしまえば、納税時に資金がショートして倒産するリスクも高くなる。


給付付き税額控除についても、円安により輸出が多い大企業の業績が良く、従業員の賃上げも増加するので、法人税や所得税等の国への歳入が増える。その収入増加分を税額控除して、控除しきれない低収入の方には差額分を現金給付すると言う政策だが、これにも問題が多い。(国民一人一人の所得や資産の把握をしっかりしないと不公平が生ずる)

本当に世の中の仕組みは面白いもので、円安だから企業業績が良く賃上げも可能となり国の歳入が増える。しかし、円安だから輸入品の価格が高くなり物価高となり、円安の恩恵を受けない企業や年金生活者が苦しくなる。まさにヤジロベーのようなバランスである。

消費税減税や給付付き税額控除を行えば、日本の財政が危惧され円安が加速され、更に物価高が促進され今回の減税分も吹っ飛んでしまう。逆に円高になれば物価高は抑えられるが企業業績が悪化して景気が後退して、国への歳入も減り更に財政が悪化する。

過度な円安には断固たる措置を取る。との事で今回は28年ぶりの日米協調介入を行った。これは時間稼ぎの効果は有るが恒久的な対策では無い。円安を抑えるには日銀が政策金利を上げなければ抜本的な解決とはならない。しかし、金利を上げれば経済活動が失速する。ここでもヤジロベーのバランスなのだ。

今年2月の衆議院総選挙で、「チーム未来」以外の全政党が消費税減税や廃止を訴えていたが、今回の与党の閣議決定に対し、野党は「財源なき減税」を追及している。結局与党は円安による歳入増の収入を原資に消費税減税を見込んでいるので、物価高は裏で容認しているのかもしれない。潤う国民と困窮する国民に分断する事は現実的なので、困窮する方々へ、如何に潤う国民の富を分配するのかが、唯一の解決策なのかもしれない。給付付き税額控除の公平な運用に知恵を絞ってほしいと私は思う。
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